シンポジウム
多職種からみた口腔管理の課題
2.「保健師の立場でみる脳卒中後遺症の方々の口腔管理の重要性と,人生の最終段階に向けて」
田原 久美子
社会福祉法人祥和会 地域密着型特別養護老人ホーム五本松の家 施設長
要介護状態になっても、できるだけ在宅で生活をしたい、在宅で介護をしたいと考える方々もいらっしゃる一方で、核家族や共働き等の家庭環境により、施設に入所せざるを得ない方々も多くいらっしゃいます。
福山市の介護保険施設のうち、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は23か所(1,441人)、当施設のような地域密着型介護老人福祉設(地域密着型特別養護老人ホーム)は26か所(681人)あり、要介護3以上の重介護者の26.0%が入所しています。
地域密着型特別養護老人ホーム五本松の家では、63~102歳までの要介護3以上の29名の方が入居をし、できるだけご自宅に近い生活の継続を目指して、暮らしを支援しています。2017年6月の開設以来、全入居者(56人)のうち、脳卒中後遺症の方は19人、がんと診断をされた方が16人、その他の疾患としては、認知症、難病、骨折、心疾患など様々な疾患を持った方がいらっしゃいます。疾患管理はもちろんですが、栄養状態や嗜好、介護状態になる前の生活スタイルなどを視野に入れ、ご自宅で使用していた食器類や箸などを持参してもらい、施設でも使用しています。
当施設では、ご本人はもちろん、ご家族が最期までどう過ごしてほしいか、ご家族がしたかったけれども、今までできなかった介護を実現するために、家族とともに考え、支援しています。多くのご家族が一番に希望されることは、「可能な限り口から食べさせてあげたい」「最期まで家で過ごしていたときのように穏やかに過ごしてほしい」といった内容です。
重度の要介護状態になっても、医療機関で経口摂取困難だといわれても、施設入所まで経管栄養のみだった方も、「食べることを諦めない」ことをモットーにしています。「食べる」ための「食べる口腔ケア」「食べるケアプラン」を重視し、最期まで「食べる」を支援してきました。実際、入所前は経管栄養のみだった方が、入所後に口から摂食できた事例や、ご家族が持参された好物を嬉しそうに口にして旅立たれた事例などを経験しています。施設が連携している歯科医院とともに、多職種で取り組んできた「食べる」支援についての経過を報告します。
略 歴
奈良県立五條病院付属看護専門学校卒業
奈良県立保健婦学院卒業
平成3年~奈良県北葛城郡河合町役場
平成6年~広島県沼隈郡沼隈町役場
平成14年~脳神経センター大田記念病院
在宅介護支援センター 在宅サービス虹の会居宅介護支援事業所
平成18年~脳神経センター大田記念病院
地域医療連携室・看護部教育担当
平成28年4月~社会福祉法人設立準備室兼務
平成28年11月~社会福祉法人準備室 室長
平成29年4月~社会福祉法人祥和会へ
地域密着型特別養護老人ホーム五本松の家 施設長
有資格
保健師・看護師・精神保健福祉士・介護支援専門員・医療福祉連携士
地域における役員等
NPO全国連携室ネットワーク理事
せとうち連携室ネットワーク世話人
社会福祉法人桜樹会 評議員
社会福祉法人祥和会 理事
福山市介護認定審査会 委員
新庄村国民健康保険歯科診療所
担当:金盛 久展
TEL 0867-56-3056
FAX 0867-56-3434
E-mail hisanobu@mx9.tiki.ne.jp
病院歯科介護研究会事務局
(一財)江原積善会 積善病院歯科クリニック
TEL 0868-24-5544
FAX 0868-22-6527
E-mail woci2008@tulip.ocn.ne.jp